12 月後半にローンチされたキンツギ(Kintugi) 🍵 マージテストネットは、マージの重要なテスト環境として稼働してきました。 さまざまなテスト、マルチクライアント devnet、Goerli(ゴエリ)のシャドーフォーク、アプリケーションの展開を経て、またコミュニティ#TestingTheMerge のサポートを頂き、安定し、堅牢なプロトコル仕様に至ることができました。 この最新仕様のクライアントの実装が完了し、次の段階として、キンツギの後継であるキルン(Kiln) 🔥🧱 がローンチされました!
キルンの実行レイヤーは、イーサリアムメインネットと同じプルーフ・オブ・ワーク・メカニズムで、同時にプルーフ・オブ・ステークのビーコンチェーンがキルンテストネットに並存していました。 キルンのプルーフ・オブ・ステークへの完全な移行は、今週早々に予定されています。 2022 年 3 月 17 日以降にこの記事を読まれている場合は、キルンのマージがすでに行われた可能性があります。
キルンは、既存のパブリックテストネットがアップグレードされる前の最後のマージテストネットとなる予定です。 そのため、既存のパブリックテストネットでスムーズに移行できるよう、アプリケーションやツールの開発者、ノードオペレーター、インフラストラクチャ・プロバイダー、およびステーカーは、キルン上でテストを実施することを強く推奨します。
これまでのマージテストネットであるキンツギは、今後数週間で非推奨となります。
キルンの使用
はじめに
キルンを使い始めるには、ネットワークのランディングページにアクセスするのが最も簡単です。 そこから、お使いのブラウザ・ウォレットへネットワークの追加、ブロックエクスプローラーの表示、フォーセットから報酬のリクエスト、JSON-RPC エンドポイントへの接続ができます。 キルンのバリデータにご興味がある場合は、ステーキングランチパッドもこのネットワークをサポートしています。
アプリケーションおよびツールの開発者
キルンが稼働した今、プルーフ・オブ・ステークへの移行時、また移行後も、アプリケーションやツールが意図するとおりに機能するかどうか、確認するベストなタイミングです。 以前の投稿で説明した通り、マージはイーサリアムに展開されたサブセットコントラクトには、最小限の影響しか与えないため、破損の恐れはないはずです。 さらに、ユーザー API エンドポイントの大部分は安定しています(ただし、eth_getWorkなどのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)固有のメソッドを使用している場合を除く)。
とはいえ、イーサリアム上のほとんどのアプリケーションは、オンチェーン・コントラクトよりもはるかに複雑です。 キルンは、フロントエンドコード、ツール、展開パイプライン、およびその他のオフチェーン・コンポーネントが意図したとおりに機能することを確認する場所として設定されています。 キルンでフルテストと展開サイクルをすべて実施し、ツールや依存関係に関する問題をプロジェクトの管理者に報告することを強く推奨します。 問題をオープンする場所をご存知ない場合は、こちらのリポジトリを使用してください。
ノードオペレーター
マージ後イーサリアムのフルノードは、ビーコンチェーンでプルーフ・オブ・ステークを実行する合意レイヤークライアントと、ユーザー状態を管理し、トランザクションに関連する計算を行う実行レイヤークライアントの 2 つが合わさったものになります。 これらは、エンジン APIと呼ばれる新しい JSON-RPC 方式を使用して、認証されたポートを介して通信します。
したがって、ノードオペレーターは、合意レイヤーと実行レイヤーの両方のクライアントを合わせて実行する必要があります。 言い換えると、ビーコンチェーンですでにノードを実行している場合は、実行レイヤークライアントも実行する必要があります。 同様に、現在のプルーフ・オブ・ワーク・ネットワークでノードを実行していた場合は、合意レイヤークライアントを実行する必要があります。
最新のキルンに対応しているクライアントについては、こちらをご覧ください。
また、各レイヤーは独立したピアを維持し、独自の API を公開することにご留意ください。 そのため、ビーコンとJSON-RPC API は、どちらも期待どおりに機能し続けます。
ステーカー
上述の通り、ビーコンチェーンのバリデータは、マージ後、実行レイヤークライアントを実行する必要があります。 マージ前では、これは強い推奨事項であったものの、バリデータはこれらの機能をサードパーティプロバイダーに外注することができました。 これが可能だったのは、実行レイヤーで必要なデータは、預入コントラクトへの更新だけだったためです。
マージ後は、作成および証明するブロックのトランザクションが有効であることをバリデータが確認する必要があります。 これには実行レイヤークライアントが必要になります。 バリデータの責任が拡大しますが、ブロックを提案するバリデータには、現在はマイナーに支払われている、関連するトランザクションのプライオリティーフィーが与えられます。
バリデータ報酬がビーコンチェーン上で発生し、今後のアップグレードまで報酬を引き出せない一方で、トランザクションフィーは引き続き支払われ、燃やされ、実行レイヤー上で配布されます。 したがって、バリデータは、トランザクションフィーの受領に任意のイーサリアムアドレスを指定できます。
キルンは、既存のステーカーがマージ後のイーサリアムに慣れるための最適な環境です。 ネットワーク上で本番環境のセットアップをミラーリングし、問題があればそれに対処し解決することをお勧めします。
繰り返しになりますが、ステーキングランチパッドは、シンプルなインターフェースで始めやすいです。 また、「ETH 2.0」の名称変更の一環として、ethereum/eth2.0-deposit-cliリポジトリ名がまもなくethereum/staking-deposit-cliに変更されることにご注意ください。
よくある質問
マージの時期
イーサリアムメインネットのプルーフ・オブ・ステークへの移行日は、この投稿時点では未定です。 「移行時期が決まっている」などと語る情報源は、詐欺である恐れがあります。 今後のアップデートはこのブログに掲載しますので、 これらの詐欺には十分ご注意ください!
キルンに問題が見られなかった場合は、クライアントが実装の詳細を確定次第、既存のゴレリ(Goerli)、ロブステン(Ropsten)などのイーサリアムテストネットでマージを実行します。 これらが正常に移行して安定し、かつ問題が見られなかった場合は、メインネットの移行に難易度が設定されます。 その時点で初めて、マージの具体的な実施日を見積もることができます。
イーサリアムユーザー、またはイーサ所有者がしなければいけないことはありますか?
いいえ。 ユーザーやイーサ所有者は何も対応する必要はありませんが、キルンにご興味がある方は、ぜひお試しください。 多くのコミュニティメンバーが、キルンの#TestingTheMerge にご参加くださることを願っています。
イーサリアムメインネットは、このテストネットの影響を受けません。 今後、メインネットの移行前に、このブログでアナウンスを行う予定です。
マイナーがしなければいけないことはありますか?
いいえ。 マイナーは何も対応する必要はありませんが、イーサリアムメインネットでマイニングしている場合は、マージ完了後は完全にプルーフ・オブ・ステークにて稼働することにご留意ください。 その時点で、マイニングできなくなります。
バリデータは自分のステークを引き出すことはできますか?
いいえ。 マージは、これまでのイーサリアムのアップグレードで最も複雑なものになります。 ネットワーク障害のリスクを最小限に抑えるため、このアップグレードでは移行以外の変更を除外し、最小限のアップグレードとすることが採択されました。
ビーコンチェーンからの引き出しができるのはは、おそらく、マージ後最初のアップグレード時点になります。 合意レイヤーと実行レイヤーの仕様については、現在進行中です。
キルンの名称の由来
先行のマージテストネットであるキンツギ(金継ぎ)は、日本の陶器のヒビや欠けなど破損部分を、金で修復し、耐久性を高めると同時により美しく仕上げる日本の技法にちなんで名付けられました。
同様に、キルンは粘土を陶器やレンガ 🔥🧱 などの焼成に使用される高温の窯(キルン)に由来しています。